8月9日、第14回脳リハ研定例勉強会が行なわれました。
前回勉強会と引き続き、今回も参加の締め切りを行う程の申し込みを頂き、大変盛況に勉強会を終えることができました。また、ディスカッションも非常に活発に行われました。定例勉強会は、今後とも3か月に1回の頻度で継続してゆく予定です。引き続きのご参加および報告をお待ちしております。
期日 2015年8月9日(日) 13時00〜16時30分
会場 タワーホール船堀 402会議室
アクセスMAP参加費 会員 無料 非会員 500円 学部生 無料
参加人数 23名
内容 プチ神経科学講座「神経障害疼痛の脳内表現」 長坂和明 氏(筑波大学大学院/産業技術総合研究所)
話題提供①「注意機能と不安・抑うつの関連」 宮前光宏氏(国立精神・神経医療研究センター)
症例検討①「頭蓋形成術前後の神経症状の経時的変化 -外減圧術を施行した脳梗塞例-」 加藤將暉氏(虎の門病院分院 リハビリテーション部)
症例検討②「右中大脳動脈領域に広範囲な脳梗塞を認めた症例の経過について」 近藤慎也氏、市村大輔氏(多摩川病院)
症例検討③
「急性硬膜下血腫術後に肩の痛みを訴えた症例について」 市村大輔氏(多摩川病院)
発表内容の概要は、前回案内のブログをご覧ください。
■定例勉強会の様子
各発表において、大変興味深い話題が提供されました。
長坂氏からは神経障害疼痛についての概説が行われました。
長坂氏の発表の様子
宮前氏からは、注意機能と不安・抑うつの関連についての報告がありました。
注意機能検査について概説があり、また不安・抑うつ症状に対する認知行動療法についての紹介がありました。
リハビリテーションを行う上で、不安・抑うつ症状を併発している症例を担当することも珍しくないため、リハスタッフも心理領域の知識を学ぶことは重要だと再認識しました。

宮前氏の発表の様子
加藤氏より、脳梗塞後、外減圧術を施行した症例における、頭蓋形成術が機能的状態に与える影響について報告がありました。一部の症例では、外減圧術後に脳浮腫が消失したのちに、大気圧により脳実質が押されてmidline shiftを生じるとの文献について言及がありました。またこのような例では頭蓋形成術により機能的改善が得られるとのことでした。
本発表における症例においては術前にmidline shiftは生じておらず、頭蓋形成術により著明な機能的改善は得られなかったとの報告でした。非常に興味深く聞かせていただきました。

加藤氏の発表の様子
近藤氏より、右中大脳動脈領域に広範な脳梗塞を認めた症例の経過について報告がありました。本症例は画像上、錐体路の障害が大きく認められていましたが、連合運動レベルながら一部随意運動が可能となっていました。ディスカッションでは、一側錐体路の重篤な障害がある症例に対する経過についての話題(同側経路の影響等)や、fMRIを計測した経験についての話題が展開され、有意義な議論となりました。

近藤氏の発表の様子
市村氏より、急性硬膜下血腫術後に肩の痛みを訴えた症例についての報告がありました。本症例は、右大脳半球の障害で右麻痺が生じていました。CT画像上、中脳左大脳脚に一部低吸収域を認めました。発症直後の脳画像がなかったため推定となりますが第9回勉強会(
http://noukinou.exblog.jp/20631498/)の症例と類似し、脳ヘルニアによる脳幹部の圧迫(Kernohan's notch)が関与しているのではないかと思われました。

市村氏の発表の様子
第14回定例勉強会の報告は以上となります。
次回勉強会のご案内については、近日中にお知らせ致します。