11月1日、第15回脳リハ研定例勉強会が行なわれました。
前回勉強会と引き続き、今回も参加の締め切りを行う程の申し込みを頂き、大変盛況に勉強会を終えることができました。また、ディスカッションも非常に活発に行われました。
次回の定例勉強会は、定員を今回の24人から48人と増やしております。引き続きのご参加および報告をお待ちしております。
期日 2015年11月1日(日) 13時00〜16時30分
会場 タワーホール船堀 応接会議室
アクセスMAP参加費 会員 無料 非会員 500円 学部生 無料
参加人数 21名
内容 プチ神経科学講座「臨床ですぐ使える脳神経系のみかた」 杉山聡 氏(下志津病院)、高杉潤 氏(千葉県立保健医療大学)
症例報告①「小脳出血後、ごく軽度な運動失調を呈し、高次脳機能障害が疑われた症例について」 清水 謙太氏、高橋 幸氏、市村 大輔氏(多摩川病院)
話題提供①「片側小脳損傷患者の歩行について」 市村大輔氏(多摩川病院)
話題提供②
「右頭頂葉損傷例が訴える疼痛に対する評価」
山本竜也氏(つくば国際大学)
話題提供③
「左右の運動野の機能的差異について」
山本哲氏(茨城県立医療大学)
発表内容の概要は、前回案内のブログをご覧ください。
■定例勉強会の様子
各発表において、大変興味深い話題が提供されました。
杉山氏からは,脳神経の見方についてのプチ神経講座がありました。眼球運動や瞳孔などの状態を注意深く観察・評価することで,急変時の対応がより迅速にでき得るとのことと思います。日常のリスク管理に役立つ知識の再確認ができ,有意義な講義となりました。
杉山氏の発表の様子
清水氏からは,小脳出血後に空間認知の低下を認めた症例の報告がありました。近年,小脳が高次脳機能に関与しているという報告が散見されます。今回の報告は,小脳半球から虫部に渡る出血巣が生じた症例について主に神経心理学的検査を行った興味深いものでした。今後の追加報告をお待ちしております。
清水氏の発表の様子
市村氏からは,小脳の歩行モデルについての話題提供がありました。モデルを用いると,あるパラメータを変えた時に,例えば歩行などの動きがどのように変化するかのシミュレーションができるとのことでした。非常に将来性を感じる報告でありました。
市村氏の発表の様子
山本竜也氏からは,右半球損傷後に強い自発痛が生じる症例についての話題提供がありました。疼痛の部位は一定でなく,時系列により麻痺側手指や肘に疼痛を感じる位置が変化する様子について,動画で供覧がありました。フロアとのディスカションの中で,本症状は中枢性疼痛という意味で視床痛に類似するのではないかとの話題も上がりましたが,多くの視床痛はある一定の刺激を加えたことにより,疼痛が同部位に生じ,また疼痛は比較的再現よく生じることが多いとの意見があり,本症状とは異なるのではないかとのことでした。本症状が起きる一因として,注意機能などの関与も示唆され,興味深い話題提供でした。
山本竜也氏の発表の様子
山本哲氏からは,左右の運動野の違いについてfMRIを用いたデータの供覧がありました。右利き被験者において右手の運動は左一次運動野のみが賦活されていましたが,左手の運動は右一次運動野のみならず,左小脳半球,補足運動野,左一次運動野などの賦活が生じたとのことでした。つまり、運動領域においても活動パターンに左右差があり,個人差が見られるとのことでした。
実際に損傷の左右半球の違いによって,片麻痺症状の差が見られた症例の報告を、今後重ねてゆく必要がある感じました。
山本哲氏の発表の様子
第15回定例勉強会の報告は以上となります。
次回勉強会のご案内については、近日中にお知らせ致します。