8月21日、第18回脳リハ研定例勉強会が行なわれました。
前回勉強会と引き続き、今回も参加の締め切りを行う程の申し込みを頂き、大変盛況に勉強会を終えることができました。また、ディスカッションも非常に活発に行われました。
次回の定例勉強会も、引き続きのご参加および報告をお待ちしております。
期日 2016年8月21日(日) 13時00〜16時30分
会場 タワーホール船堀(東京都) 402会議室(4階)
アクセスMAP参加費 会員 無料 非会員 500円 学部生 無料
参加人数 31名
内容 プチ神経科学講座「神経の発生および発達の現象をもとに中枢神経リハビリテーションを考える」
吉川輝 氏(昭和大学 医学部 生理学講座 助教)
症例報告①
「小児期(乳幼児期)の中途障害児における神経学的臨床所見とMRI画像所見の関連について」
高橋一史 氏(茨城県立医療大学付属病院)
話題提供①
「脳卒中急性期の外科的治療とリハビリテーション」
杉山聡 氏(千葉脳神経外科病院)、高杉潤 氏(千葉県立保健医療大学)
症例報告②
「右視床出血後に生じた両側小脳性運動失調の発生機序の分析」
加藤將暉 氏(虎の門病院分院)、杉山聡 氏(千葉脳神経外科病院)、高杉潤 氏(千葉県立保健医療大学)
発表内容の概要は、前回案内のブログをご覧ください。
■定例勉強会の様子
各発表において、大変興味深い話題が提供されました。
吉川氏より、神経の発生から成熟するまでの過程に伴う様々な知見について概説がありました.特に,軸索伸長の特徴や,生後からのシナプス密度や神経細胞の減少(刈り込み現象),損傷後の神経ネットワークの回復機構について興味深く聞かせて頂きました.基礎研究の実験計画や論文執筆においてストーリーを作る際には、臨床所見の報告が必須であり,是非臨床の立場からの発表や論文報告を重ねて欲しいとのことでした.
本研究会は,臨床研究者と基礎研究者の双方が集まっている会です.活発なディスカッションを交わし、新たな神経リハビリテーションを作っていきたいと再認識しました.
吉川氏の発表の様子
高橋氏からは、遅発性に拡散強調画像等の信号変化が特徴的に生じるタイプの急性脳症を呈した症例の報告がありました.小児症例で脳画像を用いた症例報告の数は少ないですが,画像所見を用いることは予後等を推定する上で有用な一手段であると考えられます.引き続きの研究,ご報告をお待ちしております.
高橋氏の発表の様子
杉山氏からは、脳卒中急性期の外科的治療とリハビリテーションについて話題提供があり,脳卒中の病型とその外科的治療,投薬・血管内治療について概説がありました.特に動脈瘤のクリッピング術は,クリッピング部位までの侵入にかかる時間は思ったより長いことや,皮質圧迫によるてんかんが出現する可能性があることなど,外科的治療に関わる様々な内容を聞くことができました.リハビリテーションスタッフとしては,血管状況を見ながら症状を予測しリスク管理を行うこと,臨床所見を確認しスタッフ内で記録共有することが重要であると話されました.
杉山氏の発表の様子
加藤氏からは、右視床出血により両側肢の運動失調を呈した症例の報告がありました.損傷領域は中脳の上小脳脚交差に及んでいたために両側肢に運動失調が生じているのではないか,脳室穿破による対側視床への影響があるのではないかなど,様々なメカニズムがディスカッションの中で話し合われ,非常に有意義な討論となりました.
加藤氏の発表の様子
第18回定例勉強会の報告は以上となります。
次回勉強会のご案内については、近日中にお知らせ致します。