5月21日、第21回脳リハ研定例勉強会が行なわれました。
今回の勉強会も大変盛況に勉強会を終えることができました。
次回の定例勉強会も、引き続きのご参加および報告をお待ちしております。
期日 2017年5月21日(日) 13時00分〜16時30分
(開場:12時50分より)
会場 タワーホール船堀(東京都) 応接会議室(3階)
アクセスMAP参加費 会員 無料 非会員 500円 学部生 無料
参加人数 24名
内容 プチ神経科学講座
「機能的近赤外分光法(fNIRS)のしくみとデータの読み方」
山田亨 (産業技術総合研究所 人間情報研究部門 主任研究員)
症例報告1
「重度体性感覚障害の責任病巣として内包後脚が考えられた被殻出血例」
江原真人 (AOI国際病院),高杉潤(千葉県立保健医療大学)
症例報告2
「純粋失読を呈した症例に対する言語聴覚療法」
曽根夕貴子,内田武正(鶴巻温泉病院),高杉潤(千葉県立保健医療大学)
症例報告3
「陳旧性右被殻出血と左頭頂葉皮質下出血により、右半側空間無視と視覚性運動失調を呈した症例」
大塚裕之,市村大輔(平成扇病院)
発表内容の概要は、前回案内のブログをご覧ください。
以下、発表の様子
山田氏からは、fNIRSの計測原理とデータの読み方についての講演がありました。fNIRSのデータには多くのアーチファクトが含まれてしまうため、それらを除去するために適切な手順を踏む必要があること、データの提示方法についても工夫が必要であることを、具体例を挙げながら説明いただきました。fNIRSの論文を読む際に、気をつけなければならない点が理解でき、非常に有意義な講演でした。
山田氏の発表の様子
江原氏からは運動麻痺が軽度であるにも関わらず、重度体性感覚障害を呈した被殻出血例の報告がありました。責任病巣として内包後脚の後部が関与しているのではとの報告でした。フロアからはより上方の断面も関与しているのではないかとの指摘があり、盛んなディスカッションが行われました。
江原氏の発表の様子
曽根氏、内田氏からは純粋失読を呈した症例の症候の特徴とアプローチおよび経過に関して報告がありました。症例は漢字とひらがなの失読症状に乖離があるとのことでした。症例の生活状況から、病態とアプローチとの関連まで幅広い質疑応答があり、盛んなディスカッションが行われました。
曽根氏の発表の様子
大塚氏からは、右半側空間無視と視覚性運動失調を呈した症例の報告がありました。視覚性運動失調は右上肢での周辺視野へのリーチングで生じていました。右半側空間無視の発症機序として、左頭頂葉の皮質下だけでなく、陳旧性の右被殻出血の影響があったのではないかと考えられました。その他、既往にある統合失調症が認知機能障害に影響するのではないか等、ディスカッションが行われました。脳卒中は、再発することも稀ではなく、今後の臨床に示唆を与える内容であったと思います。
勉強会の報告は以上となります。
次回定例勉強会開催については,近日中にお知らせいたします。