人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

脳機能とリハビリテーション研究会ブログ

noukinou.exblog.jp

第16回脳リハ研 定例勉強会のご報告

2月7日、第16回脳リハ研定例勉強会が行なわれました。
前回勉強会と引き続き、今回も参加の締め切りを行う程の申し込みを頂き、大変盛況に勉強会を終えることができました。また、ディスカッションも非常に活発に行われました。
次回の定例勉強会も、引き続きのご参加および報告をお待ちしております。

期日  2016年2月7日(日) 13時00〜16時30分 (開場:12時50分より)
会場  タワーホール船堀(東京都) 307会議室(3階) アクセスMAP
参加費 会員 無料  非会員 500円  学部生 無料
参加   44名
内容 
プチ神経科学講座(40分)
「リハビリテーションにおける情動機能の役割について」
石井大典 氏(木更津病院)

話題提供①(30分)
「高次脳機能障害を呈した主婦に対する訪問型家事支援の実践例 -高次脳機能障害支援センターの取り組み-」
揚戸薫 氏(千葉県千葉リハビリテーションセンター 高次脳機能障害支援センター)

話題提供②(30分)
「右紡錘状回の脳出血により、街並失認と道順障害を呈した症例」
今村武正 氏(鶴巻温泉病院),高杉潤 氏(千葉県立保健医療大学)

症例報告①(30分)
「脳梗塞によりゲルストマン症候群を呈した症例における数と量の操作障害について」
高木 氏(JAとりで総合医療センター)

特別講演(30分)
「脳損傷により出現する症候とそのメカニズム」
沼田憲治 氏(茨城県立医療大学)


発表内容の概要は、前回案内のブログをご覧ください。


■定例勉強会の様子
各発表において、大変興味深い話題が提供されました。

石井氏からはリハビリテーションにおける情動機能の役割についてのプチ神経科学講座が行われました。「感情は行動を変える」という認知行動療法の枠組みの話から始まり,情動機能の中枢と運動野の神経的な繋がりについて,また豊かな環境(enriched environment)が中枢神経に与える影響,脳卒中後うつについてなど,幅広くわかりやすい内容であり,非常に勉強になりました。
第16回脳リハ研 定例勉強会のご報告_d0154581_17521352.jpg
石井氏の発表の様子



揚戸氏からは,所属施設で行われている高次脳機能障害者支援についての話題提供がありました。高次脳機能障害を持つ方は,ADLは自立することが多いですが契約手続きや,金銭管理,調理などができるようになるのは1〜2割と少なく,支援が必要とのことでした。支援の対象は高次脳機能障害を持つ方のみならず,配偶者の方にも行う(障害の理解促進など)とのことで,幅広い支援を行っている印象で非常に素晴らしい取り組みと感じました。
第16回脳リハ研 定例勉強会のご報告_d0154581_17522705.jpg
揚戸氏の発表の様子



今村氏からは,街並失認と道順障害を生じた症例についての報告がありました。特に興味深かったのは,入院前によく利用していた駅の風景の写真を見せても全くわからなかったですが駅名の部分を表示(文字情報の提示)すると,場所がわかりその場所についてのエピソードをすらすらと話し始めるという症候を示していたことでした。
また自宅の写真を見ても一見して自宅とわかりませんが,一部の写り込んでいるテレビなどの物品を見て,「あぁこれはウチですね」とわかるという症候が,興味深く感じられました。さらに,病棟で迷ってしまう時には道順を示した手順書ではなく,場所に目印をつけるとよいとのことでした。
第16回脳リハ研 定例勉強会のご報告_d0154581_17522381.jpg
今村氏の発表の様子



高木氏からは,脳梗塞によりゲルストマン症候群を呈した症例における数と量の操作障害についての症例報告が行われました。500+100はできませんが,500円玉1枚と100円玉2枚の合計は700円であることは,瞬時に計算できていた動画の供覧があり,興味深く感じられました。また本症例はSPECTにて左前頭葉外側部の血流低下も認めており,ワーキングメモリ低下により,失計算症状が増強しているのではないかというディスカッションも行われました。



沼田氏からは,2015年研修会で話しきれなかった部分について,主に視覚と運動の関連の症例動画供覧と,その症候メカニズムの話が行われました。沼田氏はじめ研究会メンバー一同で,研究会初期の頃からの症例報告を蓄積してきたとのことでした。症例について評価をすること,報告をすること,それを継続することの重要性が改めて感じられました。
第16回脳リハ研 定例勉強会のご報告_d0154581_17521818.jpg
沼田氏の発表の様子



第16回定例勉強会の報告は以上となります。
次回勉強会のご案内については、近日中にお知らせ致します。












by noureha | 2016-02-08 17:57 | 勉強会
<< 第23 回 脳リハ研学術集会開... 第23 回 脳リハ研学術集会開... >>